図工科学習指導案        もどる
                       平成12年11月 2日(木)第2校時
                       6年1組(於:パソコン室)指導者 パンダ
 
T 学習主題  「計画してかいたりつくったりすると」
 
U 題材名   「写してみると 〜自分だけの楽しい世界をつくろう〜」
 
V 考察
1 学習指導要領における位置
 本教材の学習を通して、以下のような学習指導要領の「第5学年及び第6学年の目標と内容」に迫ることができるものと考える。
<目標>
(1)「造形的な能力を働かせるとともに、自らつくりだす喜びを味わい、様々な表し方や見方に触れ、創造的に表現する態度を育てるようにする。」
(2)「材料などの特徴をとらえ、想像力を働かせて主題の表し方を構想するとともに、美しさなどを考え、創造表現の能力、デザインや創造的な工作の能力を高めるよ    うにする。」
(3)「作品などを進んで鑑賞し、そのよさや美しさなどを感じ取り、感性を高めるとともに、それらを大切にするようにする。」
<内容>
A表現
(2)「見たこと、感じたこと、想像したこと、伝え合いたいことを絵や立体に表現したり、工作に表したりするようにする。」
  ア「表したいことを表すために、形や色、材料の特徴や構成の美しさなどの感じ、つくるものの用途などを考えるとともに、表し方を構想し計画して、創造的な技能 などを生かして表現すること。」
  イ「表したいことに合わせて、前学年までに経験した材料や用具、自分が選んだ材料、糸のこぎりなどの特徴を生かして使い、表現に適した方法などを組み合わせながら、絵や立体に表現したり、工作に表したりすること。」
B鑑賞
(1) 作品などを鑑賞し、それらのよさや美しさに親しむようにする。
 
2 教材観
 客観的な見方や感じ方などが高まる反面、子どもらしい豊かな想像力が影をひそめてしまいがちな6年生の児童にとって、本教材は、「写してみると 〜自分だけの楽しい世界をつくろう〜」という題材名そのものからしても、魅力的であり、心の中に眠りかけていた夢や空想、願望などを呼び起こさせる可能性のあるものと考える。また、高度情報通信
社会と呼ばれる現代においては、コンピュータ、デジタルカメラ、インターネットなどを活用することによって、身近な情報はもちろん、世界中の情報(写真、記事など)を瞬時にして得ることができるが、その情報を生かしてバーチャルな世界旅行を楽しんだり自分だけの世界をつくりだしたりすることができる本教材は、児童一人一人が自らつくりだす喜びを味わいながら、想像力や創造的な能力を高めるのに適切な教材であると考えられる。
 また、仕上げた作品に題名をつけたり、世界旅行記などを書いたりして発表し合うことにより、児童はそれぞれの夢や空想を共有することができるであろう。そのような活動を通して、児童は、子どもとしての豊かな感性を身に付けていくことができるのではないだろか。
 以上のようなことから、本教材は、児童期の最終学年である児童にとって、大変有意義な教材であると考える。
 
3 児童の実態
 男子19名、女子14名、合計33名。学級の雰囲気は、全体としては明るいが、まだ所属意識の薄い児童が数名見られる。また、4月当初に比べると大分落ち着きが出てきたが、集中力のない児童も見られる。
 本題材の学習を進めるにあたっての実態を、(造形の関心・意欲・態度)(発想や構想の能力)(創造的な技能)(鑑賞の能力)の4観点から以下に記述する。
(造形の関心・意欲・態度)
 アンケート結果や今までの観察の様子から分かることをいくつか挙げる。
○「図工科の学習をするのが楽しい」と答えた児童が25名いる。その理由は、「いろいろ作ったり絵をかいたりできるから」「完成するとうれしいから」「作品を家に飾ったり使ったりできるから」「ものを自分でつくり出せるから」などである。一方「あまり楽しくない」と答えた児童は8名で、その理由は「絵をかいたり作ったりするのが苦手だから」「色塗りがめんどうだから」である。
○「どんな時が楽しいか」と問うてみると、「ものをつくっている時」(15名)「絵をかいている時」(6名)「みんなで協力してつくったりする時」(3名)「思い通りに作品ができた時」(2名)「作ったもので遊んでいる時」(2名)のような答えが得られた。児童は、絵画的なものより工作的なものを好んでいるようであり、このことは今までの学習の様子からもうかがえる。
○全般的な学習への取り組みについては意欲的であるが、やや作品を仕上げるのに時間をかけすぎて、一定時間内に終わらせようとする気持ちに欠ける児童が多く見られる。
(発想や構想の能力)
○今までのそれぞれの題材において、「イメージをふくらませる」ために、文章に表したり、簡単なアイデアスケッチなどをかいたりさせてきたが、それぞれの児童が、自分の思いをよく表現していた。また、その思いをもとに、作品に集中して取り組めてきている。
○「イメージをふくらませるための文章やアイデアスケッチ」についてどう思うか児童に問うてみたところ、「いろいろとイメージや考えが広がって、学習がやりやすく、いい作品ができる」(25名)と好意的にとらえている児童が多かった。
(創造的な技能)
○今年度学習した題材のうちいくつかを挙げ、それぞれの評価規準に到達したかどうかを3段階(A十分 Bおおむね C努力を要する)に分けてその人数を記す。
 (題材名)        (評価規準)
・「友達の顔」…「特徴が表れるように、形、バランスなどを工夫している」
        A(15人) B(18人)  C(0人)
・「クルクルバランス」…「線材としての針金の特徴や回る仕組みを生かして作っている」
        A( 6人) B(26人)  C(1人)
・「わたしのメッセージ」…「絵と文字の配置、呼びかけ文の簡潔さなどを工夫している」
        A( 4人) B(27人)  C(2人)
 以上のように、「友達の顔」では本学年になって最初に取り組んだ作品であったということもあり、多くの児童がかなりの集中力をもって臨んだためかよい作品を残した。しかし、全般的には、技能面において際だって高い能力を発揮している児童はあまり見受けられない。
(鑑賞の能力)
○今までの学習の中で、児童はそれぞれが仕上げた作品に対して、児童なりに、友達のよいところを見つけ賞賛したり、自分のよさを確認したりできているようにうかがえる。また、友達の作品の優れたところを参考にしたり、友達からの激励や賞賛の言葉に勇気づけられたりして、自分の作品をさらに高めようとする態度が多く見られた。
 
 次に、本題材ではデジタルカメラやパソコン、インターネットなどを利用するので、それにかかわる実態を述べる。
○アンケートの中で「デジタルカメラの使い方」について問うてみると、「上手に使える」(2名)「だいたい使える」(15名)「よく使えない」(15名)との回答が得られた。これにより、デジタルカメラの操作技能が十分に身に付いていない児童が半数ほどいることがわかる。
○パソコンの基本的な操作については、第5学年の3学期及び本学年において学習したので、ほとんどの児童は理解し、その技能を身につけている。
○図工科におけるパソコンを利用した学習は、第5学年で経験しており、「えほんライター」というアプリケーションソフトを使って、簡単なお絵かきをしている。
○インターネットの利用については、本年度の国語科の学習で、情報収集のための一手段として取り上げ、基本的な操作方法については習得している。
4 教材の系統
 第6学年での学習内容の「絵に表現する」にかかわる系統を図で表すと次のようになる。







 

友達の顔


 


 

音 を 絵 に 表 す と


 

く ら し を 感 じ て


 

写してみると
 


 

秋の描 こう

 




 




 




 




 







 
W 目標
○自分の思いをもって、積極的に表現や鑑賞の活動を楽しみ、その喜びを味わおうとする。
                                 【造形への関心・意欲・態度】
○デジタルカメラ(写真)、コピーなどを活用して、自分の思いを広げる活動を楽しむこ とができる。  
                                      【発想や構想の能力】
○コンピュータやインターネットなどを活用したり、身の回りの材料を利用したりして、 自分の生活を豊かにする情報や作   品をつくりだすことができる。
                                        【創造的な技能】
○友達や自分の作品のよさに気付き、造形作品に対する感性を高めるとともに、作品作り に生かすことができる。   
                                        【鑑賞の能力】
                  
X 評価規準
○デジタルカメラ(写真)やコンピュータなどを活用して、自分の思いを表そうとしてい たり、進んで友達の作品のよいところを見つけようとしたりする。
                           【造形への関心・意欲・態度】
○「イメージプリント」を使って、「自分だけの楽しい世界」に対する自分の夢や願いな どをふくらませ、そのイメージを構成し、アイデアスケッチなどにまとめるとともに、 実際の作品作りの中で、自分の思いを広げながら取り組むことができる。
                               【発想や構想の能力】
○友達の作品のよいところやアドバイスしたいところを見つけて、「よさ発見&アドバイ スカード」に書き込むとともに、友達からもらったカードにより、自分の作品のよさを 確認したり修正個所を認識したりすることができる。         【鑑賞の能力】
 
Y 指導方針及び学習活動への支援
1 学習活動を大きく分けて、(1)イメージをふくらませる (2)作品に取り組む (3)作 品を味わう の3段階で進めていきたい。
2 (1)の段階で、児童の興味・関心、豊かな発想などを喚起するために、「イメージプ リント」を活用したり、教科書資料を参考にしたりしたい。
3 (2)の段階は、さらに@世界作り A鑑賞タイム B自分作り&世界との組み合わせ の3段階に分けて指導していきたい。
4 (2)の「世界作り」の段階では、インターネット上の風景写真や身の回りの材料など を利用して、自分の心の中に描く夢や空想、願いなどを自由に表すようアドバイスした い。
5 (2)の「自分作り&世界との組み合わせ」の段階では、デジタルカメラやコンピュー タ、コピー機などを活用させることで、自由な雰囲気の中で自分の思いを広げながら作 品作りに取り組めるようにしたい。
6 (2)の「鑑賞タイム」では、「よさ発見&アドバイスカード」を利用しながら、友達 や自分の作品のよさなどに気づかせ、作品作りの意欲を高まらせたい。
7 (3)の段階では、発表・鑑賞会を開き、作品として仕上げた「自分だけの楽しい世界」 に題名をつけたり世界旅行記を書いたりして発表し合い、児童一人一人がそれぞれの夢 や空想を共有できるようにしたい。その際にも、(2)の段階のように「よさ発見&アド バイスカード」を活用したい。
8 デジタルカメラの操作方法については、総合的な学習の時間の一環として事前に習得 する時間を設定しておく。
 
Z 指導計画(10時間予定)

段階

時間

   主な学習活動 

   教師の支援

評価項目(方法)

(1)
イメジをふくらませる


 1
 ・
 2







 

・教科書の写真資料などを見ながら、世界の各地域の
様子を知る。

・見たり、調べたりしたことをもとにしながら、自分の表してみたい世界に対する空想を広げ、簡単な画面の組み立てを考える。(イメージ構図)

 

・教科書、インターネットなどから引用した世界の各地域の写真を提示して、児童の興味や関心を高める。
・「イメージプリント」を活用し、児童の豊かな発想を引き出すようにする。
・自分の思いや夢、空想などを自由に作品に表すようアドバイスを与える。

 

・興味を示しているか(観察)


・楽しい夢や空想が浮かんだか(イメージプリント)
・簡単なイメージ構図がかけたか(イメージプリント)

 

(2)
作品に取り組む
@
世 界 作 り

 3
 ・
 4









 

・イメージ構図をもとに、世界作りをする。

・インターネットや図書館の資料などを利用して、世界の各地域の風景写真を集めたり、身近な材料を使ったりして、自分だけの楽しい世界作りをする。



 

・自分の思いや夢などを自由に表現するようアドバイスする。

・インターネット上の資料の探し方についての手がかりを示唆する。
・思うように作品作りが進まない児童には、教科書の作品を参考にさせる。


 

・自分の思いを十分に表せているか(作品の観察)









 
 

 5



 

・友達の作品のよい点やアドバイスしてあげたい点を見つけ、「よさ発見・アドバイスカード」に書き込む。

 

・互いの作品のよさを見つけ合わせ、次の活動への意欲を高めさせる。


 

・作品のよさに気づいたか(「よさ発見・アドバイスカード」、観察)

 
A
鑑 賞 タ イ ム
   

 6
 ・
 7

・デジタルカメラを使って、自分の写真をとる。(友達同士で)

・パソコンを利用し、大きさなどを考え編集し、プリントアウトする。
・コピー機を使って、何枚かコピーしたりする。


・事前に作ってある「自分だけの世界」との組み合わせを考えて、作品を仕上げていく。
 

・夢の広がるような楽しいポーズの写真をとらせる。
・友達同士で協力させるようにする。
・ワープロソフト「一太郎」などを利用し、写真の大きさの調整をさせるようにする。
・コピー機を使って、同じものを何枚か 作ってもよいことを伝える。
・「自分」と「世界」との組み合わせを自由に考え、「自分だけの楽しい世界」を作ることを アドバイスする

・協力して写真が撮れているか(観察)


・デジタルカメラで撮ったデータをパソコンに取り込んで、プリントアウトできているか(観察)


・楽しみながら作品作りに取り組み、作品に自分の思いや夢を込めているか(観察、作品)
B
自 分 作 り

世 界 と の 組 み 合 わ せ
 

 


 
 ・
 8







 

(3)
作品を
味わう








 

 9


 

・発表、鑑賞会の準備をする。
・題名をつけ、旅行記を書いたりする。

・作品に込めた自分の思いを十分に表現するようアドバイスを与える。
 

・自分の夢や願望などを十分に表現できたか(観察・「発表プリント」)


10








 

・発表、鑑賞会をする。









 

・自分の思いをきちんと伝えるために、堂々と発表するようアドバイスしたり、そうできるような雰囲気を作ったりする。
・「よさ発見・アドバイスカード」を活用する。



 

・堂々と発表できたか(発表)
・友達のよさを発見したり自分のよさに気づいたりして、つぎの作品作りに生かそうとしているか(観察・「よさ発見・アドバイスカード)
 
 
[ 本時の学習
1 ねらい
 デジタルカメラやパソコンなどを利用して、「自分作り」をし、「世界」との組み合わせを考える。
2 準備
 教師…教科書、パソコン、フロッピー、コピー機、デジタルカメラなど
 児童…教科書、フロッピー、「世界」、筆記用具、「よさ発見・アドバイスカード」(図工ノート)、はさみなど
3 展開
学 習 活 動 時間 教師の支援・指示・発問等 評価項目と方法
1 前時を振り返り、本時 のめあてを知る。
  (パソコンの起動)




 


分 



 
・「前回から、デジタルカメラやパソコンを使って『自分作り』を始めたね。今日もその続きをしてみよう。そして、『世界』との組み合わせを考えていこう。」
・1時間の流れを伝える。
・本時のめあてをしっかり持ち、学習に対して意欲を高めているか。(観察)



 
2 「自分作り」をしながら、「世界」との組み合わせも考える。






 
40








 
・デジタルカメラやパソコンを活用し、自分の思いを込めた作品作りをさせる。
・デジタルカメラやパソコンの操作方法がわからない児童には、アドバイスを与える。
・自由な発想を大事にしながら、「世界」との組み合わせをさせる。
・自分の思いを込めて作品作りをしているか(観察、作品)
・機器を巧みに使えているか(観察)




 
3 次時の学習予定を知る。

 (パソコンの終了)






 
2分







 
・「次回は、『自分作り&世界作り』の最終回だよ。夢のある自分だけの楽しい世界ができるといいね。」
・次時の学習の意欲を高めさせる。
・パソコンの終了並びにいすなどの片づけがきちんとできているか確認する。
 
・次時の学習への意欲を持つことができたか(観察)



・パソコンの終了操作などができたか(観察)
 
 
 
\ 座席表(支援表)<別紙> (後日配布)
 
] 資料(「よさ発見&アドバイスカード」「イメージプリント」)<別紙>(後日配布)