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社会科学習指導案
平成8年11月18日(月)
第3校時(10:45〜11:30)
於 パソコンルーム
第6学年1組 指導者
パンダ
T 単元名 小単元「パソコンを使って、歴史新聞を作ろう!」 (大単元 「日本の歴史」)
U 考察
1 学習指導要領における位置
本教材の学習を通して、以下のような学習指導要領における社会科の「第6学年の目標および内容」に迫ることができるものと考える。
<目標>
@「国家・社会の発展に大きな働きをした先人の業績や優れた文化遺産について 関心と理解を深めるようにし、我が国の歴史や伝統を大切にする心情を育てる。」
B「地図、年表などの各種の基礎的資料を効果的に活用することができるように するとともに、社会的事象の意味をより広い視野から考えるようにする。」
<内容>
@我が国の歴史は、大和朝廷による国土統一が行われから、政治の中心地や世の 中の様子などによって幾つかの時期に分けられることに気付き、それぞれの時代の歴史上の主な事象について、人物の働きや代表的な文化遺産を中心に理解できるようにするとともに、我が国の歴史や先人の働きについて関心を深めるようにする。」
2 教材観
6年生ともなると児童は、社会的な問題への関心を高めたり、知的好奇心を大変旺盛に抱いたりする。そんな児童にとって、導入小単元「小野地区の歴史探検をしよう」から始まった第6学年の歴史学習は、大変興味や関心をもって取り組めるものであったようである。
しかし、学習の初期の段階では、教師主導型の学習形態が多かったり、指導方法の工夫が不足していたりしたためか、児童の内発的な学習意欲を十分に喚起しているとは言えない状況であった。また、資料を活用させる機会が不足しているため、資料活用能力や社会的思考力・判断力などが十分に身についてない様子も見られた。 そこで、各小単元ごとに、今までの学習を振り返るとともに発展させるために、B4版の中質紙に「歴史新聞」としてまとめる学習を取り入れたり、学習過程に課題解決的な学習を組み入れ、児童自身で教科書や資料集、地図などの資料を活用していくような場を設定したりしてきた。そのような学習経験を通して、児童は初期の段階に比べて、資料活用能力や社会的思考力・判断力などが身についてきていると思われる。
そこで、一通りの歴史学習を終了してきた時点で、今までの学習をまとめるとともに、資料活用能力などの力をより一層伸ばすために、本教材を設定することとした。
パソコンを利用して、歴史新聞を作ることとなるが、その際に、Windows95上で動くCAI支援ツール(GECO)を活用させたいと考えている。このソフトはやや習熟するのに時間が必要なところもあるが、絵や音声などを取り込め、マルチメディアの教材を作成できるものなので、児童の興味や関心を十分に引き起こさせるものであると思われる。また、歴史新聞を作成する過程において、必要な資料を収集したり、内容構成を立てたりしていくこととなり、楽しみながら作成し、自然に、資料活用能力や社会的思考力・判断力を身につけていくことができると考えられる。また、お互いが作成した歴史新聞の発表会・鑑賞会を開くことによって、今までに身につけてきた学習内容をより一層定着させることができると思われる。 以上のようなことから、本教材は、歴史学習のまとめの段階にある児童にとって有意義で適切な教材であると考える。
3 児童の実態
男子18名、女子17名、合計35名。学級の雰囲気は大変明るく元気が良いが、落ち着きに欠ける。
本単元の学習を進めるにあたっての実態を、(社会的事象への関心・意欲・態度)(社会的な思考・判断)(観察・資料活用の技能・表現)(社会的事象についての知識・理解)の4観点から以下に記述する。
(社会的事象への関心・意欲・態度)
アンケート結果や今までの観察の様子から分かることをいくつか挙げる。ただし、アンケートは1学期末に実施したものであり、その後の変容は多少あると思われる。
○「歴史学習をするのが楽しい」と答えた児童が30名いる。その理由は、「昔の人たちの様子が分かるから」「歴史の流れが分かるから」「調べたりするのが楽しいから」などであった。一方「あまり楽しくない」と答えた児童は1名で、その理由は「別に好きでもないし、嫌いでもないから」であった。
○「どんな時が楽しいのか」と問うてみると、「歴史新聞を作っている時」(15名)「歴史上の人物が登場し、その人のしたことなどを学んだ時」(6名)「調べたことなどをノートにまとめたり学習ノートに書いている時」(5名)という答えが多かった。
以上から、児童は歴史学習に対して大変好意的であり、意欲的に歴史新聞作りに取り組んでいることが分かる。そこで、改めて「歴史新聞作りについてどう思っているか」(複数回答可)と問うてみたところ、「楽しい」(23名)「やる気が出る」(16名)「まとめ方がよく分からない」(2名)「面倒臭い」(1名)という回答が得られ、やはり歴史新聞作りについて多くの児童が好意的な感情を持っていることが分かった。ただ、数名であるが、まとめ方がよく分からないなどの理由で消極的な態度をとっている児童がいることも見逃してはならないことが分かった。
○今までの全般的な学習への取り組みについては、意欲的であり、歴史上の人物や事実を知りたいという姿勢が多く見られる。
(社会的な思考・判断)
○学習中の発表やつぶやき、また、今まで作成してきた「歴史新聞」の中の「社説」や「まとめ」に書いてある内容などから、学習の初期の段階に比べると、少しずつではあるが、社会的な思考や判断をする能力を身に付けてきている児童が増加してきていると思われる。しかし、まだ不十分な児童も多くいることも事実である。
(観察・資料活用の技能・表現)
○導入小単元「小野地区の歴史探検をしよう」で、グループごとに地域の歴史探検をし、模造紙にまとめ発表会をしたが、児童は観察してきたことを写真や図なども使いながら、上手にまとめ発表できた。
○小単元ごとにまとめとして歴史新聞作りをしてきたが、資料を上手に利用し、まとめられる児童が増えてきている。
○課題解決的な学習の過程で調べ学習をしたが、教科書や社会科資料集などの資料をもとにノートによくまとめられる児童が増えてきている。
○「歴史新聞を作成する際にどんな資料を使うか」(複数回答可)と問うてみたところ、「教科書」(29名)「社会科資料集」(29名)「家にある本」(22名)「ノート」(18名)「学校の図書室にある本」(10名)「市の図書館の本」(5名)との回答を得た。このことから比較的よく資料を活用している児童も数名見られるが、図書館の本など、多種多様な資料を活用しようとする意識がまだ不足している児童が多くいると思われる。
(社会的事象についての知識・理解)
○今まで学習した内容に対する知識や理解度をペーパーテストなどによる習熟度で3段階(A…85%以上 B…70〜84% C…69%以下)に分けると、以下のような人数配分になる。
A(22人) B( 8人) C( 5人)
次に、本単元ではパソコンを利用するので、それにかかわる実態を述べる。
本校では、夏休み末に21台のパソコンが導入されたので、児童は2学期よりパソコンに触れ始めている。本学級の児童は、・起動と終了の仕方・ゲーム遊び・お絵描き・音楽を聞く・ワープロ など幾つかのステップを踏みながら、徐々にパソコンになれてきてはいるが、まだ操作方法等に習熟しているとは言い難いのが現状である。ましてや、今回活用するGECO(ゲコ)というCAI支援ツールの使用については、全くの初めての経験であるから、初めのうちは戸惑うことが予想される。しかし、多くの児童が、パソコンを使った学習に対しては非常に意欲的であるので、戸惑いながらも、学習を進めていくうちに、児童なりにうまく活用して個性的な歴史新聞を作り上げていくのではないかと期待している。
4 教材の系統
大単元「日本の歴史」の中での小単元のつながりを図で表すと次のようになる。
|
○○地区の歴史探検をしよう
|
|
|
|
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徳川家光と江戸幕府
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米づくりのむらから古墳のくにへ
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|
移り変わる社会
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聖武天皇と奈良の大仏
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明治の新しい世の中
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藤原道長と貴族のくらし
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二つの戦争と人々のくらし
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源頼朝と鎌倉武士
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長く続いた戦争と
新しい日本の出発
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武士の文化と民衆の成長
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|
パソコンを使って
歴史新聞を作ろう!
|
3人の武将と全国統一
|
|
|
|
|
V 目標
○歴史新聞の内容構成を立て、それに基づいて資料集めを進んで行い、パソコンを 使って歴史新聞にまとめようとする。 【社会的事象への関心・意欲・態度】
○歴史新聞を作成する活動を通して、我が国の歴史や伝統の持つ意味について再確 認をするとともに、適切に判断をすることができる。 【社会的な思考・判断】
○多種多様な資料を集め、それらを有機的に結びつけながら、パソコンを利用して 歴史新聞にまとめることができる。 【観察・資料活用の技能・表現】
○歴史新聞を作成する活動を通して、既習の内容の再確認をし、知識の定着を図る ことができる。 【社会的事象についての知識・理解】
W 評価規準
○既習の内容の中から歴史新聞にまとめたいものを選択し、その内容構成を考え、 それにかかわる資料を図書館などから多数集め、パソコンを利用して作成しよう とする。 【社会的事象への関心・意欲・態度】
○歴史新聞の中の「社説」や「まとめ」などの欄に、歴史上の事実などに対する自 分なりの考えを書くことができる。 【社会的な思考・判断】
○教科書や社会科資料集だけでなく、多種多様な資料を図書館などから見つけて、 歴史のまとめの学習としてふさわしい歴史新聞をパソコンを使って表現すること ができる。 【観察・資料活用の技能・表現】
○歴史新聞を作成していく過程や友達の作品の鑑賞会などで、今まで学習した内容 を再確認し、確かな知識として身に付けることができる。 【社会的事象についての知識・理解】
X 指導の方針及び学習活動への支援
1学習活動を大きく分けて、@GECOを知る A準備する B作る C味わう の4段階で進めていきたい。
2@の段階では、児童の興味・関心を喚起するために、教師が作成したサンプル版 を提示するとともに、GECOの操作方法を指導する。
3Aの段階では、パソコンを使用する二人組ないしは一人で、サンプル版を例にし ながら、内容構成を立てさせる。その際に、「構成プリント」を活用するなどし て、先を見通して作成できるよう支援したい。また内容構成が立てられたら、作 ろうとする歴史新聞に必要な資料は何か考え、できるだけ多くの資料を集めるよ うアドバイスしたい。
4Bの段階では、実際にパソコンを使って歴史新聞を作ることになるが、GECO の使い方でつまずく児童が出ることが予想される。その際には、LANシステム を使ったり、その場に行ったりして、支援したい。また、絵や写真などの取り込 みについては、イメージスキャナーを利用したいのだが、本校にはないので、児 童から取り込みたい写真などを預かり、自宅のイメージスキャナーで取り込み、 そのフロッピーを児童に渡すようにしたい。しかし、数が多いことが予想される ので、イメージスキャナーとパソコンを自宅から持ってくることも考えている。 また、場合によっては、パソコンをタウンズモードにしてビデオカメラで撮った 画像をTIF形式で取り込んで、それをBMP形式に変えるようなことも考えた い。
5Cの段階では、発表・鑑賞会を開き、それぞれの作品を発表し、お互いの努力の あとを認め合うとともに、今までの学習内容に対する理解をより一層深めること ができる場を設けたい。その際に、「なるほどカード」を活用し、友達の作品の 良いところや感心したところ、ためになったことなどを簡単にまとめさせるよう にしたい。
Y 指導計画(12時間予定)
段階 |
時間 |
主な学習活動 |
教師の支援 |
評価項目(方法) |
@
G
E
C
O
を
知
る
|
1
|
・サンプル版「古墳新聞
」を見る。
・自分でマウスの操作を
しながら、改めて見て、
新聞の内容構成を知る。
|
・LANシステムを
使って、サンプル版
の紹介をする。
・新聞の見方を簡単
に説明し、自分で見
るよう指示する。
|
・興味を示してい
るか(観察)
・新聞の見方が分
かったか(観察・
LANシステムに
よる観察)
・新聞の内容構成
が分かったか(発
表) |
2
|
・GECOの操作方法を
学ぶ。
|
・LANシステムを
使い、歴史新聞の作
り方を説明する。
|
・GECOを操作
できるようになっ
たか(机間指導・
LANによる指導
) |
A
準
備
す
る
|
3
・
4
|
・歴史新聞の内容構成を
立てる。(二人組または
一人で)
|
・「構成プリント」
を配布し、先の見通
しを立てさせように
する。
|
・作成しようとす
る新聞の内容が決
まり、構成を立て
ることができたか
(構成プリント) |
5
|
・歴史新聞のための資料
を集める。
|
・学校の図書室など
からも資料を集める
ようにアドバイスす
る。
・課外活動として、
市の図書館などでも
見つけてくると良い
ことを示唆する。 |
・必要な資料を集
めることができた
か(観察・アンケ
ート)
|
B
作
る
|
6 |
・GECOの操作方法の
確認する。
・歴史新聞作りを始める
・表紙の部分を作る。
|
・LANでGECO
の操作方法を確認さ
せる。
・激励の言葉をかけ
ながら、新聞づくり
に着手させる。
・操作の仕方でつま
ずいている児童には
適切な指導をする。
|
・GECOの操作
方法が確認できた
か(発言・つぶや
き)
・意欲的に作成し
ているか(観察・
LANシステムに
よる観察)
|
|
本
時
|
|
|
7
・
8
・
9
・
10
|
・歴史新聞を作る。
・絵や写真、文章などの
サブカードを作成し、メ
インカードに関連づけ、
完成させる。
|
・机間指導やLAN
システムによる指導
で、スムーズに作成
できるような手助け
をしてあげたい。
・イメージスキャナ
ーなどによる絵や写
真の取り込みをして
あげる。 |
・「構成プリント
」をもとにして、
意欲的に歴史新聞
を作ることができ
たか(観察・LA
Nシステムによる
観察)
|
C
味
わ
う
|
11
・
12
|
・発表会、鑑賞会をする
・友達の作品の良いとこ
ろや感心したところ、た
めになったことなどを、
「なるほどカード」にま
とめる。
|
・作った歴史新聞を
の内容を堂々と発表
するようアドバイス
したり、そうできる
ような雰囲気を作っ
たりする
・「なるほどカード
」を活用する。
・LANによる発表
の後、自由に席を動
いて、友達の作品を
見る時間を設ける。
|
・堂々と発表でき
たか(発表)
・友達の作品の良
いところなどを見
つけ、書くことが
できたか(観察・
「なるほどカード
」)
・楽しみながら友
達の作品を見て、
知識の定着を図っ
ているか(観察)
|
Z 本時の学習 1 ねらい 「構成プリント」や集めた資料をもとに、パソコンを利用して、歴史新聞作りを始める。
2 準備・資料
教師…教科書、社会科資料集、パソコン、フロッピー、GECO操作マニュア ルなど
児童…教科書、社会科資料集、自分で集めた資料、パソコン、フロッピー、筆 記用具、「構成プリント」 など
3 展 開
学 習 活 動 |
時間 |
教師の支援・指示・発問 等 |
具体的な評価項目 |
1前時までを振り返り、本
時のめあてを知る。
(パソコンの起動)
|
3
分
|
・「歴史新聞の内容構
成を立て、たくさんの
資料を集めましたね。
それでは、今日は、い
よいよパソコンを使っ
て歴史新聞を作ってみ
ようね。」
|
・本時のめあてを
しっかり持ち、学
習に対して意欲を
高めているか。
(観察)
|
2GECOの操作方法の確
認をする。
|
5
分
|
・文字の書き方・色の
付け方、文字の大きさ
の変え方など基本操作
の確認などをする。 |
・しっかりと確認
できたか。(観察
・つぶやき・質問
) |
3歴史新聞作りを始める。
(表紙−メインカード−
を作成する。)
|
35
分
|
・激励の言葉をかける
・「構成プリント」や
資料を上手に利用する
ようアドバイスする。
・操作の仕方でつまず
いている児童には、適
切な指導をする。
・ハードディスクへの
保存を忘れないように
注意を促す。 |
・意欲的に、新聞
作りをしているか
(観察・LANに
よる観察)
|
4次時の学習予定を知る。
(パソコンの終了)
|
2
分
|
・「次回は、この続き
をしようね。音声や絵
などが関連づけられる
と楽しいものができる
ね。」
・パソコンの終了並び
に椅子などの片付けが
きちんとできているか
確認する。
|
・次時の学習への
意欲を持つことが
できたか。
・パソコンの終了
操作などができた
か。
|
[ 座席表
\ 資料
\ 資 料