してはならぬ!「体罰アンケート」  もどる

 大阪市立桜宮高校の男子生徒が部活の顧問から体罰を受けた後に自殺した問題を受け、文部科学省が先月末、体罰の実態把握を各都道府県や政令市に求めたことを受けた措置として、群馬県教委も他の都道府県と同様に、全児童・生徒・保護者・教員に対して、「体罰アンケート」を実施した。
 こんな事をしていいのか?安易すぎないか?
 こんな事をしては、子ども達と教師、保護者と教師の信頼関係が崩れてしまうこともあり得る。文科省や県教委は、軽率であったと思う。
 本校でも、例に漏れず、この「体罰アンケート」と称して、「教師いじめアンケート」を実施した。
 私は、今年度、体罰などをした覚えがないが、このアンケートを実施して何日かした後、校長室に呼ばれ、確認をされた。
 「子どもが1時間以上立たされた。」と、保護者の一人がアンケートに記述したのである。
 私は、クラスの中で起きたことで、子どもとともに反省し合う場面があったので、子どもを立たせ、その時の状況説明や子ども達の意見を聞くようなことをしたことがあったが、1時間以上も立たせたことはない。
 しかし、そのように保護者に伝えた児童が一人おり、それをそのまま書いた保護者がいたということである。
 このようなことを書かれた教師が、全国に何人もいるのではないだろうか?本校でも何人かいたようである。
 「体罰をしてないのだから、堂々としていればいい。」と慰めてくれる方もいるであろう。しかし、そんな簡単なことではない。
 教育の現場は、信頼関係の上で成り立っているのである。お互いに尊重し合うことで、いろいろな教育活動が実践されているのである。
 私は、今回のことで、「教師ってなんだろう。」、「教師だけが責められるべきなのだろうか。」と、教師としての志気が失せてしまった。
 残念であるが、子どもへの愛情も減ってしまっている自分が情けない。子ども達や保護者に対しても疑心暗鬼になってしまう。たった一人が書いたことで、こんな風に悩むのは情けないが、教師というものは、それほどデリケートなのである。いつも、自分のことよりも子ども達のことを考えて、骨身を惜しまず、頑張っているものなのである。
 長い教師生活の中でも、本当に残念な思いをした出来事であった。