平成12年 8月28日               9時30分 〜 12時20分
                          13時20分 〜 16時30分
     講義・演習「コンサルテーション はじめに
           Q&A集 Aの作成(個人)討議(グループ・全体)」     
                  講師:東京都江東区立第三砂町小学校 
                               教諭  田中 克昌
(研修内容)
【講義】
○コンサルテーションの必要性−リーダーは校内及びそれぞれの地域で、他の先生からの相談や質問、児童生徒からの希望、校長、教頭からの要請等に答える立場となり、その時に適切なアドバイスや返答(=コンサルテーション)ができることを要求される。この場合重要なのは、知っている情報だけで答えるのではなく、必要な情報を適切に参照しながら、適切な答えをつくることである。
○模擬的なクエスチョン(Q)に対し、資料リストから情報を取得したり自分の学校に照らし合わせたり自分の実践を振り返ったりすることを通して、適切なアンサー(A)を作成する訓練を行う。
○コンサルテーションをする際には…
 ・全部を知っている必要はない。  
 ・全部を答える必要もない。
 ・知っている人を知っていることが大切。
 ・情報の入手方法を教えることも大切。
 ・相手の理解度や状況に応じて説明する。気配りや心配りが必要。
○そのQの場面により、次の7つのジャンルに分類できる。
 @リーダとしての心構え
 A情報機器利用環境の整備
 B教師、児童生徒の支援
 C校長、教頭への報告、連絡、調整
 D情報化に関連した校内研修の計画と実施
 Eコーディネータ、地域リーダとの連絡調整
 F校外組織との連携
【演習】
○7つに分類された項目ごとにいくつかのQがあり、全部で100問設定されている。その中から、それぞれの研修員があらかじめ3〜5問選択しおくことになっていた。その設問に対して、まず、各々の研修員が自分なりに考えてAを作成した。その後、5人ほどのグループになり、それぞれが選択して作成した設問と答えについて、討議をした。同じグループのメンバーになったのは次の先生方である。北海道の○○先生、東京都の○○先生、静岡の○○先生、徳島の○○先生、そして私の5名であった。
○私が選択をし考えた設問並びに答えは、以下の3問であった。
 
      演習「コンサルテーション 〜Aの作成〜」
                           11番 群馬 ○○ ○○
Q:(その1) 4.2.1 リーダーとしての心構え
1−1  リーダを任された時の留意点とは
 
校長から「来年度、本校は情報教育で研究指定を受けることになったが、先生、みんなをまとめてくれ」と言われました。どのような点に注意して研究を立ち上げたらよいでしょうか。
 
A: 以下のような点に注意して、進めていくことが大切かと思います。
1 情報教育の必要性についての職員の共通理解
 これからの教育に情報教育がなぜ必要なのか、時代の流れや本校の立場などの多角的な観点から十分に話し合い、職員の共通理解を図ることが大事である。職員の中に情報教育に対して否定的な考えの人がいたら、思うように研究を進めることができないからである。
2 情報教育にかかわる本校の実態把握 
 以下のような点において、本校の実態把握をしっかりとすることが、研究の方向性や手立てなどを模索していくときに、必要不可欠である。そうでなければ、本校に合った意味のある情報教育となり得ないからである。
 ・機器等の整備状況
 ・情報教育にかかわる教師の認識度や実践状況
 ・情報教育にかかわる児童生徒の学習状況
 ・情報教育にかかわる家庭での状況
 ・家庭や地域からの理解や協力の状況
3 組織作り
 各種の実態を把握し、研究の方向性が定められたら、実際の研究や実践を行っていく際に必要となる組織を考えることが必要である。そして、全職員が研究や実践に参画できるようなシステム作りをしていくことが重要である。
4 先進校の実践資料等の入手
 研究を進めていく際には、先進的な実践をしている学校から資料や情報などを手に入れることが、とても必要である。大変参考になり、本校の研究や実践に幅や発展性を持たせることができる。
5 本校における情報教育の方向性の構築
 各種の実態を踏まえた上で、職員全体が参画し、児童生徒一人一人の情報活用能力を育成することができるような情報教育を進めていくには、どのようにしていったらよいか、職員の十分な話し合いの上で、定めていく。
6 家庭や地域への情報提供と協力の要請
 教育が学校だけではできないのは言うまでもない。本校における情報教育の実態やこれからの研究の方向性を家庭や地域に伝えることによって、必要なときにさまざまな協力が得られるような連携を図っておく。 
 
Q: (その2) 4.2.2 情報機器利用環境の整備
   2−10  LANの導入を計画しなければならない時には
     
 校内のいろいろな場所で共通の情報にアクセスしたり情報を作成したりできるようにしたいのですが、そうするためには校内LANが必要だと言われました。しかし、LANはパソコンと同じくらい費用がかかるとも言われました。少ない予算で、学習活動に効果的なLANを引くことはできないのでしょうか。
 
A: 
 校内LANに必要な機材は、HUB、LANボード(カード)、LANケーブルです。これらは、最近では大変低価格になっているので、接続パソコン等の台数や接続する距離、共有し合う情報量にもよりますが、パソコンと同じくらいの費用まではかからないでしょう。「アライドテレシス」等のホームページ上で、製品の種類や価格の状況、システム例などが紹介されているので、それを参考にするとよいでしょう。また、コーディネーターや専門業者によく相談したりすることも大切だと思います。
 そして、実際の設置の際には、職員作業で行っている学校も多く見られます。コーディネーターからのアドバイスのもと、職員でよく相談をした上で行っていくとよいと思われます。また、地域には、そんな作業を支援してくれるボランティアのグループがある場合がありますので、調べてみるとよいでしょう。
 
 
Q: (その3) 4.2.6 コーディネータ、地域リーダとの連絡調整
   6−3  購入希望ソフトを調べる時の注意点
     
 コーディネータから「予算要求するために、学校で購入したいソフトウェアのリストを提出するように」と依頼されました。
 実際に購入されるかどうか分からないけれど、学校の希望をまとめなければなりません。どうしたらよいのでしょうか。
A: 
 まず、現在あるソフトウェアをもう一度洗い出すことが大切です。その上に、現存ソフトウェア一覧表を作成するとよいでしょう。その一覧表を添付して、全職員にこれから必要とするソフトウェアの種類、価格、用途、必要性等が記入できるようなアンケート用紙を配布し、アンケートをとるようにします。その結果を集計し、情報教育部等で分析をした上で、全職員の共通理解を図れるような場を設定することにします。そして、購入希望順位も示したリストを作成し提出するとよいでしょう。
 
 
 
 
○他のメンバーの考えた設問は以下の通りである。
 <北海道 ○○先生>
 2−21 機器の紛失に対応するために
 Q マウスのボールがよくなくなって、マウスが使えない機械が出てきています。何か対策はないでしょうか。また、これまで自由に使わせていましたが、機器の取り扱い  がぞんざいになっています。今後どのように対応したらよいでしょうか。
 
   (上記以外に2つ−略)
 
 <東京都 ○○先生>
 1−10 新しい技術を獲得し続けるためには
 Q 技術の進歩が早くて、リーダとして常に先頭に立つ自信がありません。今後、リーダを続けていくためには自分が先頭に立たなくても新しいことに取り組んでいけるようにしたいのですが、どのような点に注意したらよいのでしょうか。
   (上記以外に2つ−略)
 
 <静岡県 ○○先生>
 5−3 研修参加者の意識を高めるために
 Q 情報教育関係の校内研修を行う必要性を全員に認識してもらい、意識を高めたいと思うのですが、どのような点を強調して話せばよいのでしょうか。
 
   (上記以外に2つ−略)
 
 <徳島県 ○○先生>
 5−1 研修計画を立てるためには
 Q 研修計画を立案したいのですが、そのための基礎資料をどう集めたらよいのでしょうか。アンケートの方法、集計のポイントをどこにおいたらいいのでしょうか。
 
   (上記以外に2つ−略)
 
○グループ討議をすることによって、他のメンバーの自分とは違った角度からの考えを聞くことができた。時間がなかったので、実際の討議は、それぞれが作成した設問のうち、一つずつだけしかできなかったが、大変勉強になることが多かった。
○グループ討議の後は、まとめるような意味で、全体討議をした。その中で講師の先生が我々に伝えたいことがよく集約されていたような気がした。
 
(所感)
 「コンサルテーション 〜Aの作成〜」は、やや難しく感じたが、ある質問についてその答えを必死に考えることによって、その内容にかかわる意味や対処方法などが、ある程度自分の頭の中で整理されることを体験できた。そして、その後のグループ討議によって、他のメンバーから出される多角的な視野に立った答えを聞き、自分だけの狭い視野に立っていてはいけないことが再確認できた。
 討議の時間が短かったので、それぞれのメンバーが作成したAのうち、一つずつしか話し合えなかったのが少々残念だったが、とても参考になった。。
 今回の講師の先生は、本人がリーダーに必要と説いていた3つの気(「元気」「本気」「根気」)を備えた「いつも燃えている」方だなあと思った。熱心に指導している姿には感銘を受けるととともに、このような資質がこれからの情報教育のリーダーには求められているのだろうと感じた。
 それぞれの研修委員がAを作成している間に、先生は、各個人のところに回り適切にアドバイスをしながら上手に人間関係を築いていた。また、各グループごとの討議中にもそれぞれのグループの話し合いに参加することで、適切にアドバイスを与え、しかも、全体討議の際には、各グループごとで討議されていた内容を上手に引き出しながら進めていた。そのテクニックには、大変感心した。私たちを講義にうまく引き込みながら、自分の伝えたい内容を示していることがよくわかった。きっと、普段の授業の中でも、子供たちにあのように上手に指導しているのだろうと思った。
 いろいろな意味で勉強になった講義と演習であった。
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