平成12年 8月25日              15時15分 〜 16時30分
         講義・演習「共同学習・交流学習」
                   講師:岡山市教育委員会 学校教育部
                        指導課 指導主任  青木  将
(研修内容)  
<講義>
○共同学習・交流学習の事例
 インターネットを利用した共同学習・交流学習にはいろいろな形態(メール交流型、リアルタイム交信型、共同プロジェクト型、掲示板型)があり、既に多くの実践がなされて、成果を上げている。以下のホームページを参考にするとよい。
 ・「メディアキッズ」インターネットによる学校間交流プロジェクト             http://www.mediakids.or.jp/
 ・「こねっと・プラン」教育でのマルチメディア環境の整備と活用を推進するプロジェクト http://www.wnn.or.jp/wnn-s/
 ・ 日本人学校と国内学校との共同実践研究プロジェクト紹介
     http://www.naec.go.jp/kaigai/keiji.html
 ・「授業実践事例集」100校プロジェクト、新100校プロジェクト等で実践された、インターネットを利用した授業の事例
     http://www.edu.ipa.go.jp/E-square/jirei/koushu.html
 ・インターネットを利用した共同学習カリキュラムの開発 「こねっと・プラン」モデルプロジェクトの実践成果 http://asuna.edu.toyama-u.ac.jp/~horita/JET9907/index.htm
○共同学習・交流学習の配慮事項
 共同学習や交流学習を進めていくには配慮すべき事柄がある。
(1)相手を見つけるためには 
  共同・交流学習を進めるには相手が必要であり、相手を見つける方法には以下のようなものがある。
 (a) 共同プロジェクトに参加する方法
 (b) 知り合いや研究仲間の学校
 (c) 交流募集をメーリングリスト等に投稿する方法
 (d) こねっとプラン等の子ども用コンテンツを用意しているホームページに交流希望を投稿する方法
  どの方法でも良いのだが、どんな交流をしたいのかを明確にしておく必要がある。無目的な交流は長続きしないとともに、相手に迷惑がかかることもある。
(2)学習を進める段階
  共同学習や交流学習、特に交流学習では学習を進める段階(順序)を踏まなければならない。なぜなら、いきなり本題に入ってしまうと、相互に情報が不足するとともに和やかな雰囲気での交流ができなくなってしまうからである。
 (a) 互いを知り合う
   まず互いに知り合うことが大切であり、時間をかけなければならない部分でもある。 インターネットだけでなく、ビデオレターや作品などを互いに送り合うなどして交流を進めていく。
 (b) 共通に学習した成果を発表し合う
   第2段階として交流先が同学年であれば、共通した教材を使用してそれぞれの学級内で学んだ成果を互いに交換する。例えばNHK教育放送の同じ番組を見て、学級内や個人で考えたこと・主張を交流し合うとよい。
 (c) 共同学習を進める
   第3段階は実際に共同で学習を進めることである。ここでは、互いの考えや主張が共通しているものと食い違う部分を明確にし、できれば論点を対立させることで交流が盛り上がる。
 *和やかに盛り上げるためには、「(a) 互いに知り合う」をしっかり行っておくことが大切になる。
(3)テーマを絞る必要性
  交流が主目的ではなく、あくまでも相互の立場から学習効果が上がるようなテーマの 設定が大切である。交流学習の段階に応じて、順次必然的に学びが高まり、テーマが絞っていけるような設計上のしかけが行わなければならない。
  気をつけなければならないのは、テーマが一方にかたよるようなものは避けるということである。
(4)お互いの対等な関係が大切
  共同学習や交流学習を進めていくときに、どちらかが「主」でどちらかが「従」の関係になってしまっては、長続きはしない。どちらの学校や学級にとっても、学習上得るものがあるように対等の関係をつくることが大切である。
  ただし共同のプロジェクトでは、プロジェクトの主催者が「主」となり参加する学校は「従」の関係になることがある。
(5)綿密な打ち合わせが必要
  交流学習の多くは長期にわたる場合が多く、そのような場合は各段階に応じて細かな打ち合わせを行うことが必要である。特に同じ時期に同じような学習を進めていくことが必要となってくるので、学校や学級でこれからの年間計画を立てる必要性が出てくる。
  この場合、教師同士の人間関係が大切になり、電話・電子メールのほか互いの学校を訪問し合うなどの行為を通して、信頼関係を基盤とした人間関係を作ることも大切である。
○チャットについて
 ・まず、校内LANでチャットを体験させながら、ネチケット(気をつけることなど)を学習させる。
 ・この学習が、実際にインターネットにつないだときに役立つ。共同学習や交流学習にも役立つ。
 ・コンピュータを使ったチャットを経験させた後に、「次は人間チャットだよ。」と言って、子ども達に討論させることも大変効果的である。普段意見が言えない子も言えるような雰囲気が作れる。
 
 
<演習>
○チャットのできるソフトを活用し、研修員でチャットの体験をした。
 ・はじめに、「教育会館の食堂のメニューについて」という題で全員で行った。
   49名全員で行ったので、ものすごいスピードでチャットが進んでいき、話題についていけない状態であった。しかし、リアルタイムで一つの話題について討論できるおもしろさを体験することができた。
 ・次に、テーマを次のような5つに分けて、自分が討論したいものに自由に参加して行った。
  @「コンピュータの利用」
A「インターネットの利用」
  B「ハイパー教材の作成」
C「プレゼンテーション」
D「共同学習、交流学習」
  私は、Cの「プレゼンテーション」に参加した。今度は先ほどと違って、ほんの数名 でのチャットだったので、落ち着いた雰囲気の中で行うことができた。一つの話題について、いろいろな人の意見を知ったり自分の意見を言ったりすることがリアルタイムで できるおもしろさを味わえた。
 
(所感)
 共同学習や交流学習の必要性、実施する上での手順や配慮事項、人間関係作りなどを学ぶことができた。共同学習や交流学習を実際の現場ですぐに実施できるか分からないが、実施する際には大変参考になると思われる内容であった。
 「チャット」の演習には、大変興味深く取り組むことができた。子ども達にさせれば、きっと同じように意欲的に取り組むことだろう。ぜひ、させたいと思った。そして、校内LANを利用したチャットの意義や必要性の認識ができたことは、これから指導していく際の指針となり得た。子ども達にチャットをただの興味本位だけでさせるのではなく、しっかりとした目的意識を持って行わせることができると思う。よい勉強になった。
 
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