道 徳 学 習 指 導 案                 もどる
                   平成9年 6月 3日(火)
                    第2校時( 9:35〜10:20)
                      4年1組 指導者 パンダ
1主題名  粘り強く〔1−B 不撓不屈〕
         資料名「二五メートルへのちょうせん」 
                明治図書「魅力ある道徳資料集」
 
2主題設定の理由
 @中心価値
 本主題の中心価値は、『小学校学習指導要領 第3章道徳 の第3学年及び第4学年の内容』の1のBにあたる「自分でやろうと決めたこと  は、粘り強くやり遂げるようにする。」である。これは第1学年及び第  2学年の1のB「自分でやらなければならない勉強や仕事は、しっかり  と行う。」から発展してきており、第5学年及び第6学年の1のA「より高い目標を立て、希望と勇気をもってくじけないで努力する。」に統合している。                         
   人はだれでも本来、今の自分をより高めようとする気持ちを持っているものである。今までの自分自身の姿を振り返り、今の自分を変えたいと思ったり、さらに向上させようとしたりして、新たな目標を立て、それに向かい努力しようとする。そして、その努力を重ね、自分の目標に到達できた時、成就感や満足感を感じるとともに、自分自身に対する自  信を持つことができる。人はそのような生活経験を重ねていくことを通して、人生に対する充実感を味わったり、さらに自分を高めようとする気持ちを持ったりすることができる。   しかし、人は往々にして、自分で決めたことを途中で投げ出してしまうことがある。それにはいくつかの理由が考えられるが、その一つに、自分を高めたいという気持ちはあるのだが、意志が弱いために、身の周りにあるさまざまな誘惑などについ負けて挫折してしまうという場合がある。このような時、人は、自分の心を思うようにコントロールできなかった自分自身に対して腑甲斐なさを感じる。これでは明るく生きがいのある人生とはいえない。                   
 やはり、真の充実した人生を送るためには、自分自身を向上させようと思う気持ちを常に持ち、自分の決めた目標に向かって最後まで努力し続けることが必要である。そのためには、日々の生活の中で、少しぐらいの困難や誘惑に遭遇しても、それに負けないで自分で決めたことを貫き通す強い精神力を身に付けていくことが大切である。      
  4年生は、知的能力、運動能力共に著しく発達する時期である。客観性も備わり自分の行動と他人の行動を相互にとらえられ、自己の行為の善悪についてもある程度反省しながら把握できるようになる。また、大人への依存的態度も徐々に減少し自律的態度が萌芽しつつある。そのため、今の自分をさらに向上させようという気持ちの高まりが顕著に見られる時でもある。そして、自分なりの目標を決め、その目標に向かって努力しようとする姿勢を見せるようになる。しかし、いろいろなことに興味を示すこの時期の児童にとって、意志の弱さも手伝って、多くの場合は途中で挫折してしまうものである。          したがって、この時期に、「自分でやろうと決めたことは、粘り強くやり遂げるようにする。」態度を養うことはたいへん意義あることと考える。                            
   関連価値としては「明朗」「思慮・反省」「正義・勇気」などが考えられる。                           
                                    A系統性


































 

   内  容  項  目

学年

 主題(資料名)

自分でやらなけれ
ばならない勉強や
仕事は、しっかり
と行う。
(特に親や教師の励ましや賞賛の下
に、この時期の基本的な課題である
勉強や自分のなすべき仕事を自分で
やらなければならないものとしてし
っかり行えるよう指導する。)

1年


 

・じぶんのこと
・おてつだい
・うしろまわし
        など

2年


 

・ひまわりのかんさつ
・あとすこし
・おふろばそうじ
        など

自分でやろうと決
めたことは、粘り
強くやり遂げるよ
うにする。
(「自分でやらなければならない」
ことだけではなくさらに自主性を発
揮し、自分でやろうと決めたことに
対しても積極的に取り組み、粘り強
くやり遂げる精神を育てる。)
 

3年


 

・じゃがいものかわむ
 き
・まけるものか
        など

4年



 

・二五メートルへのち
 ょうせん(本時)
・雲の観察
・なわとび
        など

より高い目標を立
て、希望と勇気を
持ってくじけない
で努力する。
(計画的に日常生活における努力目
標を立て、くじけずに希望と勇気を
もって取り組み、その理想に向かっ
て着実に前進していこうとする強靱
な意志と実行力とを育てる。)

 

5年



 

・ガルローネ君の勇気
・すえこざさ
・北極圏をゆく植村直
 巳
        など

6年



 

・わずか四百の単語か
 ら
・道ひとすじに
・心に光を   など
 
 
 B児童の実態
  「不撓不屈」に関して、次のような実態調査をした。    
                      (調査人員-男20人、女15人、計35人)
   この間の漢字テストであまりよくできなかったあなたは、1か月間は  毎日漢字をノート2ページ分練習しようと決めました。そしてその日か  らがんばりはじめ3日がすぎました。ところが、4日目になって、放課  後友達とたくさん遊んだり、スイミングで泳いだりしたので、家に帰っ  たときにはくたくたにつかれていました。それに夕飯を食べたら、楽し  みにしているテレビ番組の時間になっていました。いつも、この番組を  見た後は、お風呂に入ってねます。
 
  @そんな時、あなたはどうすると思いますか。
   ア テレビ番組を見ると思う。
   イ テレビ番組を見ないで、漢字の練習をすると思う。        Aそれはなぜですか。(どんな気持ちがあるからですか。)
   a つかれているから。         
   b テレビ番組を楽しみにしていたから。          
   c 1日ぐらい漢字の練習をしなくても、だいじょうぶだから。
   d 自分で決めたことをやり通したいから。              e 漢字テストでよい点を取りたいから。          
   f 明日、2日分やればいいと思うから。
 
   回答パターンをあげ、道徳性を分析してみると、次のようになる。
   (A)〔23人〕
      イ−d(12人)…自分でやろうと決めたことは、粘り強くやり              とげようとする。          
      イ−e(11人)…      〃                (B)〔 2人〕
      ア−d(2人)…誘惑に負けて自分でやろうと決めたことをす              ることができない。あるいは、テレビ番組を              見た後、漢字練習をして、寝る時間を遅くし              ようとしていることも考えられる。
   (C)〔10人〕
      ア−b(7人)…誘惑に負けて自分でやろうと決めたことをす              ることができない。    
      ア−f(2人)…      〃                   ア−c(1人)…      〃             
   A,B,Cの順に道徳性は高いと言える。この結果によると、3分の  2の児童が、自分でやろうと決めたことは粘り強くやり通そうという気  持ちがあることがわかる。残りの3分の1の児童は、まだそこまで到達  していないようである。しかし、見方を変えれば、この児童たちは、粘  り強くやり通すことが大切なことは知りながら、自分はまだできる状態  には至っていないと客観的に自分自身を見つめ、正直に回答していると  もいえる。                          
 
   児童の日常の学校や家庭での生活の様子をみると、前述した実態調査  の結果ほどの人数ではないが、今までの自分よりもさらに高めようと一  念発起し、自分なりの目標をしっかりと決め、取り組んでいる児童がい  る。また、そこまで達していない児童も、大変素直で優しい児童が多い  ので、親や教師などから適切な励ましや賞賛の言葉を投げかけてあげた  り、友達の粘り強く取り組んでいる様子を知らせてあげたりしていくう  ちに、より高い道徳性を獲得していくであろうと期待される。
 
   以上のことから、この時期に「自分でやろうと決めたことは、粘り強  くやり遂げるようにする。」態度を養うことは意義あるものと考える。
 B資料観
   学校のプールが始まり、「わたし」は「25メートルを泳ぐ。」とい  う目標を立てた。「わたし」は10メートルしか泳げないのだが、9月  の最後のプールの日に25メートル全員リレーがあり一度も立たないで  泳ぎ切ってみたいと思ったのである。それからは「わたし」は、みんな  が楽しそうに遊んでいる自由時間にも、息つぎの練習をするようになっ  た。そして、先生や友達に励まされながら練習を続けた。しかし、なか  なか上達しないとやや落ち込んでいた。しかし実は、25メートルはま  だ泳げるようにはなっていないが、以前よりも随分進歩していることを  友達の指摘で気づく。そしていよいよ最後の日、全員リレーで無我夢中  で泳いだ「わたし」は見事泳ぎ切ることができたのである。
 
   こんな内容の資料である。10メートルしか泳げない「わたし」が今  年こそは25メートルを泳げるようにしようと目標を立てるところには  きっと多くの児童が同じような経験をしたことがあると思われるので、  自分のこととして共感させられると思われる。また、苦しい息つぎの練  習を続けても全然上達しない「わたし」の心の中での葛藤を、児童は自  分のことととダブらせながら、容易に想像することができるであろう。  そして「わたし」が練習をやり通した上に目標を達成できた時の満足感  を味わっている最終場面では、児童に感動を与えるとともに、より高い  価値観に触れさせることができると考えられる。また、この資料をもと  に、児童の今までの自分自身の生活を振り返らせることは、道徳性を高  めることにつながることと思われる。                  以上のことから、この資料は、本学級の児童にとって適切なものと考  える。                            
 
3指導方針
 @価値への方向づけの段階では
   資料に関係する絵を掲示しながら、登場人物、あらすじなどを伝え、  興味・関心を持たせるようにする。
 
 A価値の追求・把握の段階では
  @場面を臨場感をもって理解させるため、範読する。
  A「わたし」が目標を立てた時の気持ちに共感させる。         B苦しい息つぎの練習をしても全然上達しない時の「わたし」の心の葛   藤を想像させたり、共感させたりする。
  C練習をやり通し見事目標を達成できた時の「わたし」の満足感に共感   させる。                 
  D自分の考えを発表しやすいように、道徳ノートを活用させる。 
 
 B価値の主体的自覚の段階では
   今までの自分を振り返らせ、自分の考え方や行動の仕方に気づかせる  とともに、より高い価値に触れさせる。
 
 Cまとめの段階では
   自作の歌「君ならできる!」を学級全員で歌うことによって、価値観  に対する意識の継続を図る。
 
 D同和教育上の配慮 
  @特に配慮すべき児童を観点の違いから次のように分けた。
   X…実態調査の結果や観察により、不撓不屈に関して、配慮する必要     のある児童
   Y…理解力が低いことや発言力がないこと、また精神的に不安定など     のため、授業参加が消極的な児童。
   (Xに対して)
     価値の主体的自覚の段階で、今までの自分を振り返らせ、意図的    指名をすることによって、意識の変容につなげる。
   (Yに対して)
     机間指導の中で適切な助言を与えたり、意図的指名をして答えや    すい雰囲気を作ったりしてやる。 
  A(すべての児童に対して)
     友達の意見は最後までよく聞かせる。そして、その上で自分の意    見をしっかりと言わせる。
 
4本時の学習
 @ねらい                                
 自分でやろうと決めたことは、粘り強くやり遂げようとする態度を養 う。                     
 
 A 同和教育の視点
  ・友達の意見を心から認めたり、自分の体験談を心を開いて素直な気持ちで話したりできるような雰囲気づくりに努める。
   
 B準備
   (教師)プリント「25メートルのちょうせん」 道徳ノート 絵        ポイントカード
   (児童)プリント「25メートルのちょうせん」 道徳ノート
 
 C展開

指導
 過程

学習活動と
     主な発問

予想される
    児童の反応

指導上の留意点
     は同和教育上配慮


値方
へ向
のづ
 け


1登場人物やあらす
 じを知る。




 

・どんな話だろう。
・もっと詳しく話の
 内容を知りたい。



 

興味や関心をそそる
ためにも、ポイント
を押さえ短い時間で
話す。
場面の状況が理解し
やすいように絵を掲
示する。
















32




















 

2資料を読んで話し
 合う。



・今年こそ全員リレ
 ーで泳ぎ切りたい
・やればできるはず
・去年のようにはな
 りたくない
・何かに挑戦したい






・もうやめたい
・こんな目標なんか
 立てなければよか
 った
・あきらめずがんば
 るぞ








・苦しかったけどが
 んばってよかった
・すっきりした
・よくやり通せたな
・自分をほめてあげ
 たい
・これからもこの調
 子でいろいろなこ
 とに挑戦しよう



「わたし」の気持ち
に触れさせる。
道徳ノートを使用さ
せ、自分の考えを整
理し、発表させる。
机間巡視し、特に配
慮すべき児童Yに適
切な助言を与えたり
意図的な指名をした
りする。
(11、13、21、24、33、51
、71、82、84の児童)
「わたし」の心の葛
藤に共感させるとと
もに、いろいろな意
見に触れることによ
って価値観を高めさ
せる。
机間巡視をしながら
特に配慮すべき児童
Xの考えを把握した
り配慮すべき児童Y
に適切な助言をして
授業参加を促したり
する。

・「わたし」の成就
感や満足感に触れさ
せる。





 







 

@「わたし」は、
どんな気持ちから
「25メートルを
泳ぐ」という目標
を立てたのでしょ
う。
 







 



 







 

A苦しい息つぎの
練習をしても全然
上達しなかった時
の「わたし」の気
持ちを想像しまし
ょう。
 







 




 







 

B練習をやり続け
ついに25メート
ルを泳ぎ切った時
の「わたし」は、
どんな気持ちだっ
たでしょう。
 







 

 




の主
 体
 的
 自
 覚






 

3今までの自分を振
 り返る。




・毎日なわとびの二
 重とびを練習して
 いたら、できるよ
 うになって、とて
 もうれしかった。
・毎日漢字の練習を
 しようと決めやり
 続けたら、漢字テ
 ストで合格点が取
 れた。がんばって
 よかった。
 

今までの自分は、ど
んな行動をしていた
か気づかせるととも
に、友達の考え方や
行動の仕方を知り、
より高い価値に触れ
させる。
やり遂げた体験をし
た児童や配慮すべき
児童Xの意図的指名
をして、児童Xの意
識の変容につなげた
り、他の児童の道徳
性をさらに高めたり
する。











 

今までの自分は、
ちょっとむずかし
いなと思うことで
も、目標にしてや
り遂げることがで
きましたか。例え
ばどんなことがあ
りましたか。また
その時どんな気持
ちがしましたか。
 











 
 









 

4自作の歌「君なら
できる!」をみんな
で歌う。





 

・最後までやり遂げ
 ることは素敵なこ
 となんだな。
・途中であきらめな
 いことが大切なん
 だ。
・高い目標をもって
 がんばろう。
 

価値に対する意識の
継続を図る。






 
 
 D評価の観点
   価値の主体的自覚を通し、より高い価値へ意識を向けられたか。
 
                                   (板書計画)
 


 


 

 二
 五
 メ
 |
 ト
 ル
 へ
 の
 ち
  よ
 う
 せ
 ん
 


・・・・・・・・

 3
 泳
 ぎ
 き
  つ
 た
 時
気の


 


・・・・・・

 2
 上
 達
 し
 な
 か
  つ
気た
持時
ちの
 


・・・・

 1
目ど
標ん
をな
・気
・持
・ち
 か
 ら

 








 








 








 








 








 








 








 








 








 








 








 








 








 








 








 








 








 








 








 








 








 


 
                                  
 
 
 
 (自作の歌「君ならできる!」)
 
  夜空にまたたく星に 行って来いと言われたら  
  地球の百年先を 見て来いと言われたら            
  今の君は なんて答えてくれるか          
                
  何にもやらないままで あきらめてる人がいる       
  一度の失敗だけで へこたれてる人がいる       
  今の君は こんな人ではないだろう          
                
  人間が一番美しく輝く時は  
  お化粧した時なんかじゃないさ
  きれいな服を着た時じゃない   
  何かに向かって一生懸命やっている時さ
  苦しみ悩み
  それでも進んでいる時なのさ
 *君ならできる きっとできる
  君なら 君なら できる!
  (*からくりかえし)
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 (資料)
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 (道徳ノート)
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 (座席表)